天白川と岩崎川がゆっくり流れる日進。香流川と丘陵がうねる長久手。境川・逢妻川と里山が混じるみよし。愛知池と境川支流が住宅地に食い込む東郷。矢作川と巴川、そして足助・小原・稲武の山間まで広がる豊田。5つの街は、地形も水の通り道も、それぞれ違う表情を持っています。
家を借りるとき、買うとき、子どもを連れて引っ越すとき。「この町は安全?」と聞かれて即答できる人は、地元の人でもそう多くない。大事なのは、安全か危険かを誰かに決めてもらうことではなく、自分の住む場所のリスクの種類と逃げ道を、公式の地図で先に知っておくこと。この記事は、その入口です。
※本記事は2026年7月25日時点の公開情報をもとに整理しています。現在公開されている浸水想定・指定状況・避難所は、必ず各市町の公式ハザードマップでご確認ください。
5市町で確認しておきたい4つのリスク
ハザードマップを開くとき、まず頭に入れておきたいのは「災害には種類がある」ということ。同じ住所でも、見るマップによって色のつき方は変わります。5市町でとくに押さえたいのは次の4つ。
1. 浸水(洪水・河川氾濫)
大雨で河川があふれたときに、どこまで水がくる可能性があるかを示すマップ。日進の天白川・岩崎川、長久手の香流川、みよしの境川・逢妻川、東郷の境川支流、豊田の矢作川・巴川など、5市町にはそれぞれ生活圏に近い川がある。低地・川沿い・古い水田跡地は色がつきやすい傾向。
2. 土砂災害
急傾斜地の崩壊・土石流・地すべりのリスク。長久手・みよし・東郷・豊田は丘陵地や山間部を含むため、「土砂災害警戒区域(イエロー)」「特別警戒区域(レッド)」の指定が点在する。新興住宅地でも、すぐ裏が急斜面なら対象になっていることがあるので地図上の確認が安心。
3. 地震(揺れやすさ・液状化)
愛知県は南海トラフ地震の想定区域。揺れの強さは「地盤の硬さ」で大きく変わる。沖積低地や埋め立て地、旧河道は揺れが増幅しやすく、液状化のリスクもある。市発行のマップに加えて、後述する国のJ-SHIS(地震ハザードステーション)で全国共通の物差しを確認できる。
4. 内水氾濫(下水道があふれる)
近年の都市部で増えているリスク。短時間の集中豪雨で下水道や側溝が排水しきれず、道路や住宅地が冠水する。河川から離れていても、すり鉢状の低地・道路のいちばん低い区画・地下駐車場には注意。一部の市では浸水マップと別建てで内水浸水想定が公開されている。
5市町の地形・河川とリスクの傾向(早見表)
各市町の公式マップを開く前に、街全体の輪郭を押さえておくと色の意味が読みやすくなる。表内の「傾向」はあくまで地形上の特徴。個別住所のリスクは必ず公式マップで確認してください。
| 市 | 主な川・地形 | 気にしたい傾向 |
|---|---|---|
| 日進市 | 天白川・岩崎川/名古屋市東部のベッドタウン、丘陵と低地が混在 | 川沿いの浸水、内水、丘の崖地 |
| 長久手市 | 香流川/リニモ沿いの丘陵地中心 | 土砂(斜面地)、川沿い浸水、揺れ |
| みよし市 | 境川・逢妻川/丘陵と里山、果樹園地帯も | 土砂、川沿い浸水、ため池周辺 |
| 東郷町 | 愛知池・境川支流/住宅地が丘陵と低地で入り組む | 内水・浸水、丘の縁の土砂 |
| 豊田市 | 矢作川・巴川/中心市街地から足助・小原・稲武の山間まで広域 | 河川浸水、山間部の土砂、橋・道路の寸断 |
日進市|天白川・岩崎川の低地と、丘の縁を見る
名古屋市の東に張り出すように広がる日進市。赤池・米野木・香久山・竹の山と、新しい住宅地が次々と整備されてきた一方で、市内を天白川と岩崎川が流れ、低地と丘陵がモザイクのように入り組んでいる。川沿いの色を見ておくと、引っ越し検討時の判断材料になる。
- 洪水・浸水:天白川・岩崎川沿いの低地は浸水想定の色がつきやすい区域
- 土砂:丘陵の縁(旧来からの斜面地)に警戒区域指定の可能性
- 内水:道路の低い区画・アンダーパス周辺は短時間豪雨で冠水しやすい
日進市は、洪水ハザードマップの令和8年1月更新版と、令和8年3月作成の内水浸水想定区域図を公開しています。内水は1時間147mmの雨を想定した図として案内されているため、川から離れた住宅地でも、道路の低い場所やアンダーパスを一度確認しておくと安心です。
長久手市|香流川と丘陵地、斜面の指定を確かめる
リニモが走る長久手市は、モリコロパークから古戦場、芸大、ジブリパーク周辺まで丘陵地が中心。新しい街並みが多い一方で、急傾斜地の指定が点在しているのが特徴。香流川沿いの低地は浸水想定の対象に入ることがある。
- 洪水・浸水:香流川沿いの低地
- 土砂:丘陵地ゆえに警戒区域(イエロー)・特別警戒区域(レッド)が点在
- 地震:市内でも地盤条件で揺れやすさに差が出やすい
長久手市は令和8年3月に防災マップを全戸配布したと案内しています。水害関連は洪水を中心に確認し、市公式では内水ハザードマップは未策定、高潮・津波の想定はないと説明されています。賃貸でも持ち家でも、自宅の真裏や向かいに斜面がある人は、土砂のレッド・イエロー指定も一度は確かめておきたいところです。
みよし市|境川・逢妻川と里山、ため池周辺もチェック
みよし市は境川・逢妻川が流れ、丘陵と里山、果樹園地帯が広がる。三好池をはじめとするため池も多く、上流の谷筋には土砂のリスクが潜む区域がある。住宅地の真ん中はフラットでも、少し離れると一気に地形が変わるのがこの街の特徴。
- 洪水・浸水:境川・逢妻川沿い、低地住宅地
- 土砂:里山の縁、傾斜地に警戒区域あり
- ため池:上流に位置する家は、決壊想定の確認も
みよし市は、水害ハザードマップに加えて、令和6年発行の内水浸水想定区域図を公開しています。内水は1時間147mmの雨を想定した図として案内されているので、境川・逢妻川沿いだけでなく、道路や住宅地の低い場所も合わせて確認してください。
東郷町|愛知池と境川支流、入り組む丘と低地
東郷町はららぽーと愛知東郷の周辺と愛知池を抱え、丘陵と低地が住宅地のなかで入り組む。境川の支流や、すり鉢状の住宅地区画の内水リスクが意識ポイント。町域はコンパクトだけれど、地区によって地形の表情が違う。
- 洪水・浸水:境川支流沿い、低地区画
- 内水:すり鉢状の住宅地、道路最低部
- 土砂:丘陵地の縁、急斜面
東郷町は町域がコンパクトなぶん、愛知池周辺、境川支流、丘陵地の住宅地で見るべきリスクが変わります。最新の指定状況は町公式の防災情報とハザードマップで確認し、住所だけでなく、通園・通勤でよく通る道路も一緒に見ておくのが実用的です。
豊田市|矢作川・巴川と山間部、広域の使い分けを
5市町でいちばん広い豊田市。中心市街地は矢作川・巴川の流域、北東には足助・小原・稲武の山間部が広がる。同じ豊田市でも、街なかと山間部ではハザードマップの読み方そのものが違うのがポイント。
- 洪水・浸水:矢作川・巴川沿いの中心市街地、合流部
- 土砂:足助・小原・稲武など山間部の谷筋・斜面
- 道路寸断:山間部は橋・トンネル・1本道のリスクもセットで確認
公式マップは「豊田市 ハザードマップ」で検索、または豊田市公式サイトの防災・危機管理ページから。地区ごとに別冊で出ていることもあるので、自分の住む地区の版を探すのがコツ。
国の地震ハザード「J-SHIS」で揺れやすさを見る
市町村のマップに加えて、国の防災科学技術研究所が公開しているのがJ-SHIS(地震ハザードステーション)。全国を共通の物差しで比較できる地震ハザード情報サイトで、住所を入れると「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」などが地図上で確認できる。
- サイト:J-SHIS 地震ハザードステーション(防災科研)
- 主な地図:今後30年間に震度6弱以上の確率/揺れやすさ/地形・地盤分類
- 使い方:トップから「J-SHIS Map R」などへ進み、地名や住所で検索
J-SHISは「確率」を地図化したサイトなので、絶対の予測ではない。あくまで「自分の住む場所が、全国の中でどの位置にあるか」を肌感覚でつかむためのもの、と考えると向き合いやすい。
ハザードマップを開いたあと、最低限見たい3つの場所
マップを開いたものの「色だらけでどこを見ればいいか分からない」となりがち。最初は次の3カ所だけでもよい。
- 自宅:何色が乗っているか、何の災害のマップか
- 家族の通学路・通勤路:途中で色が濃い区間がないか
- 指定避難所:自宅から徒歩で行ける場所か、ルート上に危険区間がないか
大切なのは「色の濃淡で安心・危険を決めること」ではなく、「色がついているなら、どんな備え方をしておくか」を一段先まで考えておくこと。色が薄い区域でも、内水や地震は別マップで色がついていることがあります。複数のマップを重ねて見るのが基本です。
防災グッズの基本|「家にあれば1日が変わる」もの
ハザードマップは「逃げ方の地図」、防災グッズは「逃げる前と、戻ったあとの道具」。完璧を目指すと続かないので、まずは家族の人数分×3日を目安に、最低ラインから揃えていく。
- 水:1人1日3L×3日(飲料+簡易調理)
- 非常食:常温保存できるもの、家族の人数×3日分
- モバイルバッテリー:大容量タイプ。停電時はスマホが命綱
- ラジオ:手回し・乾電池両対応、できればソーラー付き
- 照明:ヘッドライト・LEDランタン
- 衛生用品:簡易トイレ、ウェットティッシュ、生理用品
- 持ち出し袋:上記をまとめて玄関近くに
セット品も便利。Amazonの防災セットや楽天市場の防災セットで家族構成に合わせたサイズを選べます。子どもがいる家庭はミルク・おむつ、高齢者がいる家庭は常備薬の予備、ペットがいる家庭はフードと水を別途。
合わせて検討したいのが、火災保険・地震保険の見直し。引っ越しや更新のタイミングで、ハザードマップの色と保険の補償範囲を一緒に確認しておくと、漏れに気づきやすい。一括見積もりサービスを使うと、複数社の条件を並べて比較しやすいです。
よくある質問(FAQ)
Q1. ハザードマップで色がついていない場所は「安全」ですか?
色がない=想定外の災害が起きないという意味ではありません。マップは「想定される外力」に基づく予測で、想定を超える雨や揺れには対応していないこともある。「色がついていない=大丈夫」ではなく、「色がついていない=想定されていない」と読むのが安全側です。
Q2. 賃貸の引っ越し前にも見るべきですか?
はい。家賃や駅距離と同じくらい、ハザードマップは住む前に確認したい情報です。2020年8月から、宅建業者は契約前の重要事項説明で、水害ハザードマップ上の物件の位置を示すことが義務付けられています(賃貸・売買とも対象)。契約前に書面で説明を受けられます。自分でも公式マップを開き、納得してから契約するのが基本。
Q3. マンションの高層階なら関係ないですよね?
浸水そのものの影響は受けにくくても、エレベーター停止・停電・断水・周辺道路の冠水は高層階でも起こります。揺れに関しては、地盤と建物の固有周期によっては高層階のほうが揺れ幅が大きく感じられることも。マップは戸建てだけのものではありません。
Q4. 子育て世代がとくに見ておくとよいポイントは?
通園・通学路、放課後行く公園・習い事の周辺、祖父母の家までの経路。「子どもだけで歩く区間」と「親と歩く区間」を分けて、それぞれ別の日に確認しておくと、家族の中で共通認識ができやすい。雨の日のお迎えルートも一度シミュレーションを。
Q5. ハザードマップはどれくらいの頻度で更新されますか?
市町村や対象災害によって異なりますが、想定見直しや法改正、大きな災害のあとに更新されることが多い。「数年に一度は最新版を確認する」くらいの感覚で、自治体公式サイトをのぞいておくと安心です。引っ越しや家の購入のタイミングは、必ず最新版で。
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最後に
ハザードマップは、街を怖がるための地図ではなく、街と長く付き合うための地図です。日進・長久手・みよし・東郷・豊田。5つの街にはそれぞれ違う川と丘があり、違う備え方があります。「安全か危険か」より、「自分の家のリスクの種類を知っているか」。引っ越しの前夜でも、いつもの夕食のあとでもいい。家族で公式マップを一度開く時間が、いちばんの防災グッズだと思います。
公式情報の確認先
- 日進市公式サイト(防災・危機管理ページからハザードマップ)
- 長久手市公式サイト(安心安全・防災ページからハザードマップ)
- みよし市公式サイト(安心・防災ページからハザードマップ)
- 東郷町公式サイト(防災・くらしのページからハザードマップ)
- 豊田市公式サイト(防災・危機管理ページからハザードマップ)
- J-SHIS 地震ハザードステーション(防災科学技術研究所)
- わがまちハザードマップ(国土交通省 ハザードマップポータルサイト内)
※本記事には一部アフィリエイトリンクを含みます。防災用品の紹介は、編集の判断で選んだ一般的な情報源です。商品選びや保険の検討は、ご家庭の状況に合わせて公式情報をご確認のうえご判断ください。記事内容は2026年7月25日時点の情報に基づきます。
